
雅楽演奏家としてはもちろん、近年では俳優業や、絵本作家としても活躍中の東儀秀樹さんのコンサートが、2009年11月30日、東京・ゆうぽうとホールでおこなわれました。
当日の天気は、たいへん肌寒くぽつぽつと雨も降っていましたが、たくさんのお客さんが会場前に列を作り、いまかいまかと目を輝かせながらオープンを待ちわびている様子がとても印象的でした。

会場入り口では、東儀さんのアーティストグッズはもちろん、全日仏婦の事業のひとつ、被災地支援の「一本のタオル運動」でおなじみの“まけないぞう”タオルも多く並べられていました。

さらに全日仏婦の事業活動がパネルで紹介されており、インドの子ども達への支援活動についてなど、興味深く拝見させていただきました。

コンサート会場はほぼ満席。照明が落ちて、いよいよコンサートがスタート。平安絵巻をイメージしたようなセットの中央に、狩衣姿で立つ東儀さん。一曲目は幻想的な「東儀篳篥独奏」で始まりました。続いて「調子(ちょうし)」「衣由良(きゆら)」「灯影序(ほかげのじょ)」「蘭稜王(らんりょうおう)」が演奏されました。

途中からは東儀さんのお母様九十九(つくも)さんの笙、お姉様雅美さんの龍笛が参加。力強くも神聖な響きを持つ東儀さんの篳篥を際だたせ、見事なハーモニーとなって会場にひとつの世界を作り出していました。東儀さんの舞も、大変見応えのあるものでした。雅楽の古典的な要素を全面に打ち出した第一部。重要無形文化財、世界無形遺産でもある日本の伝統的な音楽のひとつ、雅楽の世界観が十二分に発揮されたステージでした。

第一部が終了し、20分の休憩を挟んだのち、東儀さんオリジナルの曲がメインの第二部が開始されました。雅楽の曲のなかでも有名な「越天楽」に東儀さんなりの思いを込めた「越天楽幻想曲」で始まりました。第一部とはがらりと雰囲気を変えて、黒のジャケット姿でステージに立つ東儀さん。リラックスした雰囲気のなかにも、篳篥の音色が会場の空気を引き締めます。

次に「三つ星」「Happy Skip」「光りふる音」「時ヲ旅スル」「海と陸を駆けて」と、ポップで親しみやすい楽曲が続きます。曲の合間のMCでは、ご自身の曲に対する思い、その曲が出来たときのエピソードをひとつひとつ語っていらっしゃいました。『篤姫』撮影中の話や、「この曲はCM用に作ったのですが……残念ながらまったくその商品は売れませんでした」など東儀さんの制作中の裏話が飛び出すと、会場では笑いもおこり和やかなムード。

リラックスした気分で、演奏を楽しむことのできるステージでした。最後に日本画家高山辰雄の「聖家族」からインスピレーションを受けて生まれた、静かで穏やかな楽曲「聖家族」で終了。大きな拍手に包まれて、東儀さんは舞台袖に。スタンディングオベーションをする人もいて、その感動は多くの人に伝播し、アンコールの拍手へと変わっていきました。

アンコールの演奏が終わったころには、第一部の神聖な雰囲気、第二部のポップな雰囲気がみごとに融合したステージを見終わった感動で、またいつの日かこのステージを体験してみたい、と思った次第であります。